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【メンタージャム東京のご報告】
2013年2月 「労働契約法・高齢法・派遣法 直前対策セミナー」
~講師 古澤 和哉 氏

 2月14日(木)、東京・麹町会館にて、「メンタージャム東京」を開催いたしました。今回は、メンター会員で社会保険労務士の古澤和哉氏を講師にお迎えし、~久々の大型改正! 4月1日施行、迫る~「労働契約法・高齢法・派遣法 直前対策セミナー」と題してご講演いただきました。


■古澤 和哉 氏のご講演より

古澤 和哉 氏
古澤 和哉 氏
メンタージャム東京講演会メンタージャム東京講演会

 労働法は、文字通り労働者のために作られた一連の法律であって、経営者の味方ではありません。古澤氏は、いくつかの例をあげながら「労務関係で、経営者が自由にできるのは“採用”“教育”“就業規則”」とし、「ぜひ、この3つの見直しをして、コンプライアンスを守りながら企業の利益をあげていって欲しい」と、経営者にとっての労務や労働関係法改正の意味合いを説明されました。

◆労働契約法の改正
 労働契約法は2008年3月1日に施行されましたが、就業規則に影響を及ぼす内容ではありませんでした。ところが、今回の改正により、就業規則を見直す必要が出てきました。

 注目されているのは、無期労働契約への転換。有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです。誤解しやすいポイントを説明いただくとともに、有期労働契約社員の雇用に関する基本的な考え方を説明されました。たとえば、“通算5年”というカウントは今年の4月1日から始まるため、無期転換による影響は5年後に発生するわけですが、「5年の猶予があると受け止めるのではなく、当社にとって必要な人材なのかを1年、2年など早い時期に見極めるべき。無期で働いてもらうのか、あるいは雇止めをするならお互いのためにも早く実行するべきです」と、経営者がすべきことを強調されました。

◆労働者派遣法の改正
 従来の労働者派遣法は、派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律でしたが、昨年10月、派遣労働者の保護・雇用の安定を目的とした法律に改正されました。これにより、派遣会社だけではく派遣先の責任が厳しく問われるようになりました。たとえば、派遣先の都合により派遣契約を解除する場合、派遣先は、派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当などの支払いに要する費用の負担などの措置をとらなくてはなりません。

 派遣法だけでなく、労災保険法上の責任も強化されました。労働災害が起きた場合、現場は就労場所の派遣先です。労基署等への報告義務の対象に派遣先が加わり、労基署等は派遣先にも立ち入り検査をするようになりました。

 しかし、もっとも厳しいのは、2015年10月1日から施行される、労働契約申込みみなし制度です。違法派遣が発生した時点で、派遣先は派遣労働者に対して直接雇用の申込みをしたとみなされます。違法派遣とはどれほどの状態をいうのか、まだ具体的に示されてないそうですが、順次開示されるため、注目し、対応していきたいものです。

◆高年齢者雇用安定法
 65歳未満の定年を定めている企業は、労使協定により基準(例外規定)を定めた場合は、希望者全員を継続雇用しなくてもよいとされていました。ところが厚生年金の受給開始年齢の引上げにより、定年後に無収入となる人が増える可能性がでてきたため、今回の改正により例外規定を廃止。希望者全員を65歳まで継続雇用することが義務付けられました。

 古澤氏は「例外規定の廃止には、12年の経過措置がある。年金がもらえるようになった人には、継続雇用の条件を付けてよいので、労使協定はくれぐれも破棄しないように」と注意を呼びかけます。たとえば、2017年に62歳になる人は、この年齢から年金を受給するため、企業はこの年齢から労使協定の基準を利用できるということになります。

 さらに、経営者は「従業員の人数や男女の数を知っているのは当たり前。ところが、平均年齢はあまり把握していないのではないか。高齢者の継続雇用のために新卒採用を見送った場合、平均年齢の上昇スピードが上がることを忘れないでほしい。自社のビジネスモデルにはどのぐらいの年齢がふさわしいのかを考えるべき。また、契約社員や派遣、パート社員の人数など、細かい要員管理まで社長は意識しなければならない」と、企業経営にとって重要な「人」の問題を強調されました。

 最後に、企業に義務づけられている障害者雇用率の引き上げや障害者雇用促進法の改正についても触れ、未達成の場合の罰則や達成した場合の報奨金・調整金について説明されました。

 古澤さま、限られた時間のなかで、すばらしいご講演をありがとうございました。参加者からは、「とてもわかりやすかった」「笑いもあり、講師の話に引き込まれた」「知らないことが多数あったので、勉強になった」などのご感想が寄せられています。


 第2部交流会は、同じく麹町会館にて、古澤氏によるご挨拶と乾杯で始まり、名刺交換や歓談、交流などが活発に行われました。また、税理士・経営コンサルタントでメンター会員の喜多村洋子氏に、開業時の税務対策のセミナーのご紹介をいただき、次回3月のメンタージャム東京で講師をご担当いただく、税理士でメンター会員の木村祐司氏に一言ご挨拶をいただきました。喜多村さま、木村さま、ご登壇をありがとうございました。

古澤 和哉 氏メンタージャム東京交流会

 次回3月19日(火)開催の「メンタージャム東京」は、~増税時代を乗り切るために何が必要か~「MJ東京・平成25年度税制改正セミナー」と題し、講師としてメンター会員で税理士の木村祐司氏をお招きいたします。
 みなさまのご参加を心よりお待ちしております。

2013年3月19日(火)開催「メンタージャム東京」のご案内
~増税時代を乗り切るために何が必要か~
「MJ東京・平成25年度税制改正セミナー」

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  株式会社コンサルティングファーム  メンタージャム事務局
  TEL: 03-5212-7272  FAX: 03-5212-6090
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