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職人として一人前になるために

 先日行った散髪屋さんでのことです。
 髪を切ってくれたのはお店の3代目、30代前半の方でした。
 ちょっと驚いたのは、その方がしてきた修行の話です。

 2代目であるお父様は、3代目が生まれる前から子供の修行先を決められていたとのこと。3代目も高校を卒業すると何の迷いもなく理容師の学校に入学。同時に決められていた修行先の理髪店にお手伝いとして入ったそうです。そこは全国から主に理髪店の師弟が集まり、全員が寮生活をします。
 ここまでは普通の話ですが、驚いたのは修行の期間と毎日の修行についてです。
 修行期間は通常8~10年。20歳そこそこから30歳前後までがずっと6人部屋の寮生活を続けます。先輩が後輩の面倒を見、40名近い若者が規律ある生活を学びます。
 朝は7時45分から、店の周辺400mの町並みを全員で掃除。夜の9時まで就業。その後、毎日欠かさずに1時まで訓練。本人たちも大変でしょうが、60歳を越えた社長が熱心にみんなを指導するそうです。

 休みもお盆と正月のみ。もちろん逃げ出す子供たちもいるそうです。しかし、修行の厳しさに驚く一方で、職人として一人前となるために日々研鑽をしている人たちが日本にまだいたんだと知り、少しほっとしました。
 しかも、3代目がこの話を非常に明るく語り、10年の修行は当たり前と思っている様子。彼が理容業という職業に対して持っている誇りを感じました。

 去年から、主に司法書士の方を対象とした人材紹介を始めました。面談時には、就職したら少なくとも3年間はがんばって学んでほしい、と人材の方にはお伝えしています。もちろん理容業とは事情は違いますが、「教えてもらう」という人材側の気持ち、「この人を一人前にしてやろう」という所長の気持ちは、共通しているように思います。
 職業というものに対して、考えさせられた1時間30分でした。

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